浄化槽に関するQ&A
浄化槽の「使用」、「維持管理」、「法定検査」に関するQ&A
浄化槽に関する Q&A
浄化槽の「使用」 Q&A
一週間の予定で旅行に出かけますが、送風機(ブロワ)の電源は切ってもいいですか?
- 非常時を除き、電源は切らないでください。
- ブロワの停止時間が長くなると汚物を食べて分解している微生物が窒息して死んでしまいます。

ブロワ
浄化槽を長期間使用しない場合には、どうすればよいですか?
- 浄化槽を長期間使用しないときは、清掃をして水を張り、ブロワの電源を切っておいてください。
- なお、消毒薬の撤去も忘れないようにしてください。
- 再度、使用する際は、保守点検業者に使用開始前の保守点検をお願いして、浄化槽が正常に働くことを確認してから使い始めてください。
てんぷらの廃油は流しても大丈夫でしょうか?
- 浄化槽の微生物では、多量の廃油は処理しきれませんので流さないでください。
- 廃油を流すと浄化槽に影響を及ぼすだけではなく、台所のパイプや流入管渠が油でつまる原因になります。

油
浄化槽からの臭いが気になります。何が原因なのでしょうか?
- 使用開始後、機能が安定する間、臭いがすることがありますが、一般的には徐々に臭いがなくなりますので様子をみてください。
- 悪臭がする場合には、その原因を取り除くことが大事です。
- 油分等の流入過多
- ブロワの異常
- マンホール蓋の密閉不良
- 維持管理が不適切など
家の中が臭うのですが、何が原因でしょうか?
浄化槽から家の中に臭いが侵入しないように防いでいるのがトラップです。
トラップが設置されていなかったり、異常が生じている場合には臭いが防げませんので、家の中が臭う原因となります。まずは、トラップの状況確認を行ってください。
糖尿病だと浄化槽に良くないと聞きましたが?
- 糖尿病は、人より多くの糖がでてしまうために過負荷になり易く、単独浄化槽では影響を受けやすいと言われています。
- 合併浄化槽の場合は、流入水量が多いので影響は出にくいと言われていますが、問題がある場合は、
- 水を多めに流す
- ブロワを大きくする
- 維持管理頻度を多くする
- 臭突管(排気管)を設置するなど
浄化槽からの音が気になりますが何が原因でしょうか?
浄化槽からの音の原因は、浄化槽本体が原因、ブロワが原因などが考えられます。
浄化槽本体の原因としては
- エアリフトポンプからの落水音
- 空気配管の固定不良など
ブロワからの原因としては
- ブロワの設置不良
- ダイヤフラムの破損など
トイレ用洗剤を使っても大丈夫でしょうか?
- 市販のトイレ用洗剤であれば、たいていものは問題ありませんが、極端に酸性、アルカリ性が強いものは避けた方が無難です。
- 市販のトイレ用洗剤のなかには、「通常の使用では浄化槽に影響はない」と表示してあるものがありますので、洗剤選びのひとつの目安になると思います。
(表示がない場合には、中性洗剤を選ぶようにしてください。)
トイレの水を何度も流しますが問題ありませんか?
- 合併浄化槽では、その量にもよりますが、特に問題はないと思います。
- 単独浄化槽は、槽容量が小さいために、少し多めに汚水が流入すると汚泥が押し出されるおそれがあります。
再生紙のトイレットペーパーを使用しても大丈夫でしょうか?
- JIS規格の市販のトイレットペーパーであれば再生紙でも大丈夫です。
- トイレットペーパーは水に溶けるように作られていますが、その他の紙類(ティッシュペーパー・紙おむつなど)は、水に溶けませんので流さないでください。

紙類
トイレの芳香剤は、使用しても大丈夫でしょうか?
- 適量で使っている限りでは、浄化槽の機能に影響を及ぼすことはありません。
- 芳香剤に含まれる色素によって浄化槽の放流水が着色されることもありますが、特に問題はありません。
調理くずなどを台所から流しても問題ありませんか?
- 調理くずを浄化槽に流し続けると、目詰まりを起こす原因となりますので、できるだけ調理くずは流さないようにしてください。
- 流し用のネットなどを利用するとよいと思いますので、工夫してみてください。
洗濯用洗剤を多量に使用しますが、大丈夫でしょうか?
- 洗濯洗剤を多量に使用すると浄化槽に影響があるばかりか、著しい発泡により、槽外に泡がでてくることがありますので、洗剤の使用量は適正量としてください。
- 洗剤は必要以上に使っても効果がないばかりか、衣服などに洗剤が付着し肌荒れなどの原因にもなりますので、注意してください。

洗剤
洗濯時に漂白剤を使用しますが大丈夫ですか?
- 多少の漂白剤は問題ありません。
- ただし、塩素系の漂白剤を多量に使用しますと、浄化槽内の微生物に悪影響がありますのでできれば避けてください。
浄化槽内に泡が発生しています。洗剤は適正量を使用していますが、異常でしょうか?
洗剤以外の原因で泡が発生するのは、
- 浄化槽内の微生物の代謝物の影響
- 一日の寒暖の差が著しい場合
などですが、処理性能には特に影響はないことが多いようです。もし、泡が気になるときには、消泡剤がありますので、保守点検業者に相談してください。
入浴剤を使用しても浄化槽に影響はありませんか?
- 市販の入浴剤を適量で使っている限りでは心配することはありません。
- ただし、イオウ分が含まれる入浴剤は避けたほうがよいでしょう。
(イオウ分が浄化槽内に入ると硫化水素の発生による悪臭や、亜硫酸などの生成によって水が酸性になり処理機能に影響を及ぼすからです)
風呂場でカビ除去剤を使ってもよいですか?
- 最近のカビ除去剤は強力で、特に塩素系は浄化槽内の微生物を殺したり、働きを弱めたりするため、カビ除去剤はできるだけ使用しないのがよいでしょう。
- 使用する際には、不要なタオルやキッチンペーパーなどで、拭き取った後に水で流すのがよいと思います。
浄化槽から小さなハエが発生したので噴霧用の殺虫剤を使用しても大丈夫でしょうか?
- 浄化槽内への殺虫剤の散布は避けてください。
(殺虫剤が浄化槽に入ると、浄化槽で働いている微生物も殺してしまい、浄化槽機能が著しく低下してしまうおそれがあるからです) - ハエなどが気になる場合は、吊り下げタイプの殺虫剤(殺虫プレートなど)がありますので保守点検業者にご相談ください。
浄化槽に貝がいるのですが大丈夫でしょうか?
- 浄化槽内にサカマキ貝などの貝類が発生することがありますが、あまりよい現象とはいえません。
- 貝は、浄化槽内の微生物を食べてしまうために、処理機能に影響を及ぼすおそれがありますので、次回の清掃時にきれいに駆除してもらうとよいでしょう。
ペットの糞を浄化槽に入れても大丈夫でしょうか?
ペットの糞は浄化槽には入れないでください。
(ペットの糞は人間のし尿と性状が異なり、通常の浄化槽では処理できません。)
浄化槽の上に物置を置きたいのですが大丈夫ですか?
浄化槽のマンホール蓋の開閉に支障を及ぼし、維持管理作業に支障を来しますので、浄化槽の上には、物置などの構造物は置かないでください。
浄化槽の寿命はどのくらいですか?
- 強化プラスチック製の浄化槽が使われるようになったのは、昭和40年頃からのことです。その当時設置された浄化槽が今日でも十分に機能を発揮しており、その意味では実績として30年は大丈夫と言えます。
- ただし、ブロワやポンプなどの駆動機器は、浄化槽を使用していく上での消耗品であり、ときには故障等による部分的な交換が必要になる場合もあります。
浄化槽の「維持管理」 Q&A
浄化槽の保守点検と清掃は、なぜ必要なのですか?
- 保守点検は、消毒薬の補充、微生物の生育環境の整備やブロワのフィルター掃除などを行う作業です。
- 清掃は、浄化槽内に溜まった汚泥を引き抜くなどの作業となります。
保守点検と清掃は浄化槽の機能を維持し、きれいな水質を確保するために必要ですので、必ず行ってください。

保守点検
保守点検は年にどれくらい行えばよいですか?
- 保守点検の回数は、浄化槽の種類や処理方式、槽の大きさなどによって異なりますが、家庭に設置されている浄化槽であれば、通常の使用状態において、4ヶ月に1回以上と定められています。
- なお、消毒薬の補給などについては、保守点検の回数に関係なく適時行うことになっています。
保守点検はどのような業者に依頼すればよいのでしょうか?
- 浄化槽の保守点検を委託する場合は、都道府県知事に登録した業者に依頼してください。
- 保守点検は、浄化槽管理士という国家資格者しかできませんので、実際の保守点検業務の際には、身分の確認した方がよいでしょう。
- また、保守点検委託契約書の締結をお勧めします。
保守点検は自分で行うことができますか?
- 保守点検は浄化槽管理者が行うことになっています。浄化槽管理者とは一般家庭では、世帯主の方になりますので、法律上の問題はありません。
- しかし、保守点検は国が定めた技術上の基準に従って行うことになっていますので、保守点検を適正に行うためには、専門的な知識や器具・機材が必要になりますので、自分で行う場合でもこの基準の遵守が必要となります。
清掃をしていれば、保守点検は必要ありませんか?
- 清掃をしていても、保守点検は必要です。
- 浄化槽に汚れた水が入り、きれいな水が出れば出るほど、汚いものは浄化槽の中に溜まることになりますので、定期的な清掃が必要となってきます。
清掃は年にどのくらい行えばよいのですか?
- 浄化槽の清掃は年1回、古いタイプの全ばっ気型は、おおむね6ヶ月に1回とされています。
- 使用状況によっては、汚泥などが生じ易いため、清掃の回数が多くなることもありますので、保守点検業者に確認してください。
清掃はどのような業者に依頼すればよいのでしょうか?
- 浄化槽の清掃を委託する場合には、市町村長の許可を受けた業者に依頼してください。
- また、清掃委託契約書の締結をお勧めします。
- なお、清掃後には規定の水位まで水張りを行うことになりますので清掃業者と事前に打合せしておくことをお勧めします。

清掃
一人住まいでも清掃は、年1回行わなければならないのですか?
- 現行の法律では、年1回の清掃が義務付けられています。
- 清掃には、汚泥の引き出しだけでなく、各単位装置の洗浄や引き出し後の槽内部の異常の確認などを行うことも含まれますので、年1回の清掃をお願いします。
清掃後、水道水を入れるのは何故ですか?
- 浄化槽内に水が張ってあることにより、固体と液体の分離や浄化作用に役立つ微生物の生息環境を整えることができますので、清掃後には必ず水張りを行ってください。
- なお、浄化槽内に水が張ってあることにより、水圧と土圧のバランスがとれ、浄化槽の破損などを防止する役目もあります。
浄化槽の「法定検査」 Q&A
保守点検も清掃も業者に委託していますが、それでも法定検査は受けるのですか?
- 保守点検や清掃を行っていても、法定検査を受けなければなりません。
- 保守点検、清掃と法定検査は、まったく目的が異なるからです。
- 保守点検、清掃は、浄化槽の処理機能を一定に保つのが仕事ですが、法定検査は業者が国の定めた基準に従って適切に行われているかどうかを確認し、浄化槽管理者に報告するのが仕事です。
第7条検査と第11条検査の違いはなんですか?
- 第7条検査は、新たに設置されたときや、構造・規模を変更したときに行う設置状況検査で最初の1回だけです。
- 第11条検査は、保守点検・清掃が適切に行われているかを年に1回行う維持管理検査となります。
法定検査はどうして有料なのですか?
- 個人設置の場合、浄化槽の管理責任者は、その家の世帯主です。維持管理を業者に委託している場合でも、責任者としての立場は替わりませんので、業者の履行状況をチェックする義務がありますが、なかなか難しいのが現実です。
- そこで、世帯主に替わってチェックしているのが検査機関であり、それ相当の手数料をいただいているということになります。
更新日:2023年05月11日